子どもたちの未来へとどきますように ~いま、私たちにできること~
Rocks ForChileでは、2017年より児童養護施設への楽器寄贈や、子どもの社会問題に関する支援団体に寄付や活動支援を行ってきました。
今回のコロナウイルス感染拡大の影響を受け、フェスティバル開催自体延期となる中、子どもたちのために今私たちができることを少しずつ進めていき、発信していきたいと考えています。
「ありがとう。」
そのひとことに心がギュッと締め付けられた。
そこには、私たちが想像もつかないような悲しみや不安、そして感謝の気持ちで溢れた素直な心があった。
大阪市中央区島之内、そこには「Minamiこども教室」という子ども・子育てプラザで活動している団体がある。大阪市中央区内の小学校には、国籍が13ヵ国以上の子どもたちが在籍しており、その中には日本語を話すことが困難であったり、親が仕事で家を空けるため一人で過ごしていたりする子どもたちがたくさんいる。このように外国にルーツを持つ子どもたちの学習支援と居場所づくりのために、地域の外国人支援団体様やみなみ小学校様などと実行委員会を結成し、放課後学習支援教室として活動しているのがMinamiこども教室である。
Rocks ForChileとMinamiこども教室とのつながりについても説明したい。
Rocks ForChileでは、親子で一緒に楽しめる音楽フェスティバルを開催し、その収益金で子どもの社会問題に対しての団体等に、寄付・寄贈を行っている。
またフェスティバル当日はその社会問題をお客様に楽しみながら啓発することができるブースも設置している。
昨年は「セーブ・ザ・チルドレンジャパン」、児童虐待死ゼロを目指す「ゼロ会議」、児童養護施設「常照園」などが啓発活動に参加し、その後は寄付・寄贈で関わらせていただいた。
※詳しくは昨年のRocks ForChile特設サイトをご覧ください。
その取り組みの一環で、今年はMinamiこども教室もRocks ForChileでの啓発活動に参加することと、Rocks ForChile収益金の一部で寄付支援を行うことを決定していた。
しかしながら、悲しいかな、コロナウイルス感染拡大の影響で、5月9日・10日で開催予定だったRocks ForChile2020は、11月に延期することとなった。
新型コロナウィルス感染拡大の影響で世界中の人々が苦しい生活を強いられている。そしてここ、島之内に住む外国籍の家庭も、これまでに経験したことが無いくらいの窮地に陥っていた。親の多くは、飲食業や水商売などについていることからコロナウイルス感染拡大の影響で仕事を失い、お金も底をつき、毎日しっかり食べることすら出来ていないような切迫した生活を送っている。
「この地域は崖から転げ落ちるような勢いで生活困窮に陥っている。親のほとんどは職を失い、3月4月と家賃すら払えない家庭も多く出てきた。商売に関しても壊滅的で、コロナが終息しても客足が戻るのには何カ月もかかるだろう。先日、パブとレストランを経営していた人は家賃が払えずテナントから追い出された。何とか生活保護や給付金、緊急貸付等でつなごうとしている。」と実行委員長の金光敏(キム・クァンミン)さんは話した。
元々週1回、しま☆ルームというMinamiこども教室の姉妹団体が、子ども食堂を開いており、食事支援を行っていた。Minamiこども教室は外国ルーツのシングルマザー家庭やステップファミリー家庭の子どもたちが大半で、小学校の給食がない土日は一日1食しか食べることができない家庭もあったためだ。
現状、学校が休校になったことで給食すら食べることができず、現金も底をついている家庭が多いことから、子ども達のため、子どもと暮らす家族のため、Minamiこども教室としま☆ルームは週3回の個食配送ボランティアを決定した。
その活動の中で、4月23日(木)の支援団体が決まっていない、というお話しを聞き、私たちRocks ForChileはMinami子ども教室を介して、22世帯60名の家庭に1食分のお食事を支援させていただくことを申し出た。
今回、お食事の提供を依頼させていただいたお店は、元お笑い芸人でジョニーレオポンというコンビで活躍していた河内さんが営んでいらっしゃる「ハチマル蒲鉾」様。老舗の八尾蒲鉾店の特約店として営業しており、新感覚の揚げ蒲鉾が絶品だ。この「ハチマル蒲鉾」様が、コロナウィルス感染拡大の影響を受け、困っている人たちを助けたいという思いからお弁当配達を開始していた。子ども(18歳未満)は無料、大人は1食200円、もちろん配達料は無料。さらに、大人1食200円の売り上げは、医療従事者へ寄付されるとのこと。
多い日には、300食程度の弁当配達をしているらしい。なんて素敵な取り組みだろう。
河内様にインタビューさせていただいたところ、更に素敵なエピソードを聞くことができた。
「実は、私たちハチマル蒲鉾のこの活動は、私たちだけの資金力では実現することができず、色々な方に支えていただいて実現しているのです。子どものお弁当の費用は、すべてある人気芸人さんが資金提供してくれています。大人分も色々な人気芸人に支えていただいていて、、、
しかもみんな絶対自分の名前は出すな、と言ってくれるんです。ただ、この活動に感謝してくださるお客様は本当にたくさんいて、私たちのところにたくさんの感謝の手紙が届いたりしています。
名前をだせず、もどかしい想いをしていて、私たちだけの活動ではないので、それを知ってほしいなと思っていました。ぜひ記事にしてください!」
素晴らしいお話だ。
そんな「ハチマル蒲鉾」様から、4月23日(木)、子ども40食大人20食の合計60食のカツカレーライスが運び込まれた。カツカレーライス以外にも、地元のつながり等の紹介先から届いた支援物資(コーンフレーク大袋、カルピスジュース、カボスジュース)を、ボランティアの皆さまと一緒に家庭ごとに分けて袋詰めをした。
「さぁ、子どもたちが待つ家へ届けに行こう。」
大阪市中央区島之内にある対象家庭1件1件に手渡しで届けた。手渡しには理由がある。子どもたちが元気にしているかどうか、様子を見るためだ。顔を見て、笑顔を見て、よしっ!今日も元気だ!と確認したり、何か困っていることはないか?などと直接会話をしたりする。
子どもたちを地域の大人の手で守る。そこにいろいろな人や団体が賛同し、さらに支援する。今の日本に欠けていて、でも一番必要なもの。ウィルス感染や天災なんかで倒れないような社会づくり。ここ、島之内ではみんなの協力と支援で持続可能な街がつくられようとしていた。
「ありがとう。」
子どもたちの心のこもったひとことと、笑顔がそこにはあった。
コロナウィルス感染拡大が続く中「Minamiこども教室」では、既に5月末まで週3回の個食支援の目途が立ったそうだ。それでもまだまだ支援を必要としている子どもたちがたくさんいるとのこと。私たちはRocksForCchileとして、引き続きサポートしていきたい。
このような状況の子どもたちがいる家庭はまだまだたくさんある。そして、この記事を読んでくださった皆さまからの温かいご支援もお待ちしております。
また、Rocks ForChileでは継続的に子どもの社会問題について取り組み、支援していく活動を企画中です。
今、私たちにできること。未来のこともしっかり考えて、コロナウィルスに負けない世の中にしよう。
最後に、今回取材にご協力いただいた「Minamiこども教室」の皆さま、「ハチマル蒲鉾」の皆さま、ボランティアに来てくださった皆様、元気と希望をくれた子どもたち。誠にありがとうございました。
お問い合わせ先:Rocks ForChile 伊吹(info@rocksforchile.com)
記:Rocks ForChile 羽原 葉子